防腐、殺菌の効果がある梅干しは保存食のイメージがありますが、保存方法は塩分濃度で決まります。
昔ながらの梅干しは塩分濃度が高いため常温で保存ができますが、市販の梅干し(はちみつ梅、しそ梅、昆布梅など)は冷蔵庫で保存してください。
容器は梅干しの酸が影響するため金属製のものは避けてガラス製のものをオススメしています。
当農園の梅干しは塩分を控えめの梅干しですので冷蔵庫保存をお願いしております。
梅干しの賞味期限は、塩分濃度 添加物、保管状態で決まります。昔ながらの梅干しは塩分を多量に使用した保存食で、抜群の防腐効果がありました。
塩分濃度を20%以上に保てば何百年という保存も可能で、実際に400年前の梅干しも存在します。
塩による殺菌、抗菌の効果です。
市販の梅干しは3ヶ月から1年くらいの賞味期限に設定してるものが多いようですので、パッケージなどをしっかりとご確認ください。
梅の美は元々クエン酸・リンゴ酸を多く含んでいるため梅干しになる前から酸っぱい食べ物で、梅干しに加工したから酸っぱくなるなるわけではありません。
クエン酸はレモンにも含まれていて、中性脂肪やコレストロールの抑制、免疫力の向上、胃腸の働き高めるなどの効果があります。
古くから梅干しが健康食品として扱われているのは、殺菌、抗菌作用などの効果を持つ「酸っぱい」クエン酸が大きな役割を果たしているためです。
昔から「梅干しと鰻は食べ合わせが悪い」などと聞いたことがありますが、実際は違うようです。
むしろ、梅干が鰻の油分消化を助ける形になるので相性がいいとさえ言えます。鰻に含まれるビタミンB1、梅干しに多く含まれるクエン酸は疲労回復に効果があるため夏バテの予防などには最高のコンビです。
油分の鰻とサッパリした梅で食が進むため、暴飲暴食を戒めるための言葉が現在に意味を変えて伝わったものかもしれません。
「梅干しの種は毒がある」という話しをよく耳にしますが、毒(アミグダリンという青酸配糖体)があるのは青梅の時で梅干しの種は問題ありません。
「アミグダリン」は梅が若い頃は果肉に含まれていて外敵から身を守る役割を果たします。次第に実から種に成分が移動し今度は種を外敵から守ります。
完熟するにしたがい実の部分のアミグダリンは薄くなり、梅干にするとその毒性はほぼなくなってしまうという結果が報告されています。
梅干しの種の中には「仁」という実があり、この仁を菅原道真公が好んで食したことから「天神様」と呼ばれるようになりました。
天神様(梅の種)を捨てるわけにはいかないということで江戸時代、太宰府天満宮には「梅干の種納め所」が設置され、なんと1000年以上経った現在でも太宰府天満宮に存在しています。
樹齢1000年を超える飛梅(白梅)など太宰府天満宮は梅にとても縁のある神社なのです。
現在、花見と言えば「桜(ソメイヨシノ)」を思い浮かべるかと思いますが、奈良時代の花見は「桜」ではなく「梅」を見ながら歌を詠む貴族の風習でした。
花見の始まりとも言われています。
平安時代あたりから桜の花見に人気が出始め、戦国時代、武士の間にも花見が浸透することで完全に逆転されたと推測されています。
桜の美しいまま散る散り際が武士の生き様に重なることから一気に全国的に広まったようです。
「桜切る馬鹿、梅切らぬ馬鹿」という諺(ことわざ)がありますが、これは、「桜は切ると切り口が腐りやすいので剪定はしない方がよく、 梅は切ることで樹形を整え枝が込み合うのを避けて良質な果実を実らせる」という意味です。同じ行動でも全く違う結果になりうるという戒めとしても使われています。
お花見で酔った方が桜を折ってしまうという話を耳にしますが、樹と花と果実と共に暮らす我々農園の人間としては大切に扱ってほしいと願うばかりです。
この諺(ことわざ)には少しだけ続きがあります。
青森県の弘前城に老いた桜の木がありました。桜とリンゴは同じバラ科の植物なのでリンゴ栽培で培われた剪定技術で老いた桜を剪定してみたところ、見事に樹勢を取戻し、以前より立派な花を咲かせたそうです。
以来、弘前の桜は通常の桜より花芽が多く全国有数の立派な桜を咲かせ続けています。同じ農園を営む我々も何だかとても誇らしい気持ちになりました。日本の農園の皆様!一緒にがんばりましょう!